・ 日本人が韓国を心底嫌いになれない訳 – かつてのような嫌韓状態にはもはや二度と戻れず。
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最近、中国のことについて日本人と話していて、微妙に話がかみ合ってない感じのする時があって、北朝鮮について考えていて、なんとなくその理由が分かったような気がしました。
それで、自省もこめて自分が北朝鮮について考えてみると、北朝鮮という単語を使う場合に、ほとんど北朝鮮政府について考えていることが分かりました。逆に私が中国について考えている場合、「中国」という単語は、ほとんど自分の友人や知人や、各地で接触した中国人や、国柄のことをイメージしていることが分かりました。
中国といった場合に、現在の中国共産党政府のことをイメージする程度は、日本と言った時に現在の安倍政権をイメージする程度と同じ程度であることも分かりました。安倍政権が嫌でたまらん、という日本人はいくらもいると思いますが、安倍政権が嫌いだから私は「日本」も嫌い、ということには絶対にならないと思います。「日本」という国土、国柄と「政権」は完全に分離されているわけです。
それで、日本と、自分が住んでいる中国については国名と政権は別物と考えるのに、なぜ北朝鮮については政権の代名詞、と考えてしまうかと考えた時に、『一人一人の北朝鮮人の顔や声や楽しみや、何千人の北朝鮮人から構成されている社会が、全然具体的なものとして想像できないから』、と思いました。単純化して言いますと、具体的な一人一人の人柄を自分に関係あるものとしてイメージできない国については、現時点の政権が国名を代表してしまうと。
昨日、ツイッターである方(安田峰俊さん)のツイートで、『「NHKスペシャル|中国激動怒れる民をどう収めるか メディアの見出しに出てくる中国は、なぜ常に「激動」で、人民は常に「爆発寸前の不満」を抱いている設定なのか。そういう部分もあるのは否定せんけど、この切り口自体を疑う視点は持ってたいところ』と書いておられました。
これについて考えてみると、なぜこういうことになるかというと、ほとんどの日本人は、中国人をマスとしてしか考えられないからだと思います。ひとりひとりの日常生活がいっぱい固まった総体としての中国がうまく想像できないので、『歴史を作る人民』、というパースペクティブでしか中国人を見られない。だから勢い、こういう切り口になってしまうのだと思われます。要するに、中国人を「政治的な事件や歴史を作る主体」としてしか認識できない、ということかと思います。
実際、中国で生活していると分かりますが、たしかに政府に対する不満も強くあるとしても、ほとんどの人にとって生活は激動というより、「平穏」で「単調」なもので、多くの人は、「あそこのスーパーで青梗菜安かったから、今日は晩御飯のおかずは青梗菜にしよう」、とか、「今日X〇さんが言ってたのはどういう意味なのかしら、どうもひっかかる」とか、そういうことを主に考えているわけです。
「中国人が反日だ」、という日本国内の「できちゃった」概念で後戻りなかなかできないのも、普通に生活してる人が、「日本嫌い」という、なんのおいしさも楽しさもないような概念についてそんな一生懸命考えるはずがない、という人間本位の想像力があればすぐ分かるところですが、中国の国民を歴史や政治の担い手としか認識できないため、そういう「飯の種」にもならないことについて、中国人が一生懸命考えているという誤解を生んでいるように思えます。たしかに島の購入に対する抗議デモの際の一部暴徒の焼き討ちのような犯罪行為を見ると、そういう誤解が生ずるのも分かりますが、しかし日本でも大久保で「殺せ」などと言って目立つ脅迫行為をしている日本人が、日本人の人口比でいったいどれくらいいるかということを考え、しかもあれらも韓国内できわめて大きく報道されているだろうことを考えると、立場を逆にして理解できようというところです。
ひるがえって、各種調査を見ると、日本人は今は韓国が嫌いという人は結構いても、好きという人もかなりいて、昔と違ってどんなに日韓関係が悪化しても嫌いという人の数には歩留りがあるようです。これはなぜでしょうか?
私はこれは、冬のソナタを皮切りに起こった韓国ドラマブームと、その後の韓国のポップスグループの日本でのヒットによって、日本人がテレビドラマなどを通じて韓国人の具体的な生活や喜怒哀楽、とりわけ個々人の人柄や思いに触れ、韓国と聞いても政治のような抽象的なものではなくて一人一人の顔と声が具体的に身に染みていることがひじょうに大きいと思われます。一度冬のソナタの主人公に感情移入して、その喜怒哀楽をわがことのように共感した人にとっては、どう考えても真正の韓国嫌いにはなれない、そういうことがあると思います。一度韓国人も日本人とまったく同じように喜んだり、悲しんだり、恋をする。その感情に自分も完全に同化できる。ひじょうに尊敬できる人、良い人、いやなやつ、おもしろい人、みないる。ステレオタイプの抽象化された韓国人はそこにいない。
これは、みな現実であって、現実を知らない時はうまく考えられないので、しかし現実を知ってしまえば、地動説を理解してしまえば、天動説にはもはや二度と戻れないのと同じで、以前よりうまく、正しく考えられるものだと思います。
ですので、できるだけ言葉を学んで直接に他の国の人に触れる、それができない場合は、ドラマや映画を通じてその社会に住む人の喜怒哀楽を知り、自分と同じ喜怒哀楽のあるものであることを知る、そこからよりよい関係が出発していけるものと思います。
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このブログでは、これからも私の見た中国をごく普通に伝えていきます。
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