・中国語「工作」=仕事 なのを隠して読者を欺こうとする産経新聞
公開日:
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最終更新日:2014/06/22
・ 日本から見た中国, 未分類
孔子学院、実態は中国宣伝機関…当局も認める「工作の重要な一部」 大学と提携、採算度外視』
http://goo.gl/0bo1Mp 産経新聞 2014.6.19
上記の記事をお読みください。
記事中、産経新聞記事(矢板明夫記者)は『中国教育省の高官は講演で、「わが国の外交と対外宣伝工作の重要な一部だ」と強調したことがあった』と書いています。
記事の見出しは、『当局も認める「工作の重要な一部」』です。この見出しは、上述の教育省高官の発言をひいてのものと思われます。
さて、上記教育省高官の発言は、おそらく中国語では「对外宣传工作」(日本語入力では対外宣伝工作)だと思います。中国語の分かる方は皆ご存じですが、中国語の工作は日本語の仕事または活動、中国語の宣伝は日本語の広報または宣伝の意味に当たります。
そうすると、中国の教育省高官が言っていたという「対外宣伝工作の重要な一部だ」は、もし原文の中国語が「对外宣传工作」(日本語の漢字で「対外宣伝工作」)だったとすると、日本語での意味は「対外広報活動の重要な一部だ」、というのとそんなに変わらないと思われます。そんなに、と入れたのは、中国語の宣伝は、日本語の広報と宣伝の両方の場合に使われるから全く同じともいえないかもしれないという意味でです。
「対外広報活動の重要な一部」という意味だったら、産経新聞のこの記事には、「政府主導で自国の言葉や文化を広める組織としては英国のブリティッシュ・カウンシルや、フランスのアリアンス・フランセーズなどがある。」と書いているところ、このイギリスとフランスの2組織については全く何も問題視してませんが、「自国の言葉や文化を広める組織」の意味は、「対外広報活動」と同じですから、孔子学院も産経新聞が問題視していないこれらの組織と同列に考えられることになるのでないでしょうか?予算が中国政府から出ているという違いはありますが、先の「教育省高官」が言っていたことは、記事の見出しにある「当局も認める」というような意味は全く持たないことになります。
宣伝のほうはまだいいとしても、産経新聞が記事中に中国語の「工作」が日本語で仕事の意味であることの説明をただの一言も書かないのはどういうことでしょうか?読者が、中国語を知らないのをいいことに、読者を欺いて(あざむいて)CIAやKGBのような情報機関がやるような情報工作をしようとしている、という印象を与えようとしているとしか思えません。
まさか北京にいる特派員が、中国語で「工作」が、「仕事が多くて疲れる」とか「別の仕事に変わりたい」のようにごく普通に「仕事」の意味で使われている言葉と知らないとは思えません。
この記事の目的は、この記事を多くの人に読んでもらう事で、日本国内で、中国政府が中国語の教育や文化の紹介を通じて、日本語でいう「情報工作」「洗脳」のようなことをしていると考え、且つそれを大きな問題と考える人(特に政治家)が増え、中国語政府が関与している中国語や中国文化の紹介に打撃を与える事にあると思われます。ひいては中国語教育自体を委縮、縮小させたいという意図も場合によってあるのではないか、とも邪推かもしれませんが、思わないでもありません。
いずれにしても、明らかに読者を欺いて誤った印象を与えようとしている、手段を選ばない産経新聞のこのような「情報工作」には注意が必要だと思われます。
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